過去の記事で、スプレッドシートを利用して、経理データを効率的に管理する方法をご紹介してきました。
① 銀行、カードのデータを集計して効率的に経理作業をする方法
② スプレッドシート→弥生会計のデータ転送作業を効率化する方法
今回は、スプレッドシート、弥生会計を使いながら経理処理を行っていく中で、必ず行う数値チェックについてです。
経理作業において各仕訳の金額チェックは重要であり、とても多くの時間を割かれる作業です。
数値がおかしいと思ったらその度に関連書類を見返して、どんどん時間が過ぎていきます。
毎月行う作業でもあるので、できるならあまり時間をかけずにミスなく終わらせたいものですね。
事業所によって管理方法は異なりますが、主にフリーランスや小規模事業者の方向けにこれらを効率良く行っていく方法をご紹介します。
この方法で行えば、仕訳を1個ずつ端から端までチェックする必要がなくなり、短時間で経理作業を終わらせることができるようになります。
スプレッドシートと弥生会計の流れ
今回行おうといるスプレッドシートから弥生会計へのデータの流れは、下記のとおりです。銀行とカードを集計したスプレッドシート(詳細はこちら)を元に損益計算書を自動集計します。
この時の損益計算書は弥生会計で見れる損益計算書と同じ形式にします。
つまり、表を勘定科目別×月別に数式で集計すれば良いことになります。

弥生会計で損益計算書を確認する
まず弥生会計で勘定科目別の集計箇所を確認します。サイドバーで「レポート」→「残高試算表」→「損益計算書」の順にクリックすると、月別の集計表が表示されます。

損益計算書をスプレッドシート内で集計する
弥生会計と同じ形式の表をスプレドシート上で作成します。銀行、カードのデータを1箇所に集計した「合体データソース」の数値を数式「sumifs」によって、科目ごとに抽出して下記のとおり集計します。

(数式例)
=SUMIFS(‘合体データソース’!$Q:$Q,’合体データソース’!$P:$P,$A15,’合体データソース’!$O:$O,”>=”&B$1,’合体データソース’!$O:$O,”<"&C$1)
=SUMIFS(‘合体データソース’!$Q:$Q,’合体データソース’!$P:$P,$A15,’合体データソース’!$O:$O,”>=”&B$1,’合体データソース’!$O:$O,”<"&C$1)
数値をダブルチェックして一致させる
通常は仕訳を一個ずつ内容、数値とともに確認しますが、ここではまず勘定科目×月別に数値が一致しているか確認します。弥生会計とスプレッドシートの2つの数値を比較して、下記のように判断していきます。
一致している→個別の項目も一致している
一致していない→個別の項目のどこかが間違っている

一致してない場合でも闇雲に探すより勘定科目と月別に絞れば修正箇所も見つけやすくなります。
文字列が一致していない場合も集計値に差が出るので、表記をすべて一致させます。
毎月新しいデータが更新されていきますが、スプレッドシートと弥生会計の損益計算書の数値を一致させれば、売上、経費等の数値を正確に把握できます。
このようにすることで、1個ずつの仕訳と金額を間違える確率が減り、効率的に経理作業を行なえるようになりますね。
スプレッドシートのデータをデータポータルで可視化する
ここまで経理の集計作業についてでしたが、ここからは表やグラフで可視化する事例についてです。弥生会計ではデータを記入した年度から見れますが、スプレッドシートは1つのシートにつき1つの年度のデータをまとめておけば、データソースとして含めるか含めないかの繋ぎ変えは自在にできます。
また、表とグラフの内容もカスタマイズできます。
具体的に見ていきましょう。

データポータルでスプレッドシートのデータを可視化
Googleデータポータルを用いて、過去数年間の売上推移と昨年比(上部グラフ)と内訳表(下部表)を作成してみました。年度の途中でもスプレッドシートさえ更新すれば、WEB上で関係者にいつでも共有することができます。

Tableauでスプレッドシートのデータを可視化
BIツールTableauでも可視化しました。フィールド式を使ったり、ワークシートの縦横の項目を変えたりして、必要な部分だけグラフや表に抜粋して表示させることができます。例えば、外注費だけ抜き出して、グラフと表を下図のように並べて表示して、推移が一目で分かるようにすることもできます。
弥生会計でも画面を切り替えれば見れる内容ですが、すぐに判断できなかったり計算し直さないといけないこともあります。
これらを可視化ツールを使うことにで、すぐに把握できて共有できるメリットがあります。

経理作業を間違えずに短時間で自動処理するために
このようにスプレッドシートのデータソースと可視化ツールを用いることで、・計上金額を間違えずに正確に集計して保存すること
・表やグラフで必要な箇所だけ抜き出したりカスタマイズして、容易に把握できて関係者で共有することが実現されました。
この他にも便利な方法は多く存在しますが、無料のスプレッドシートを使ってシンプルに管理する方法としてはお勧めです。
個人や小規模のフリーランスの方は是非試してみましょう。
<<関連記事はこちら>>
銀行、カードからスプレッドシート集計、弥生会計の決算を効率化①
スプレッドシート→弥生会計のデータ転送作業を効率化②